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ぬるい氷

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夏の夜の思い出4

僕の家の駐輪場に郵便受けがついている
ダイヤル式なので番号さえ分かれば誰でも開けることができる

僕の家には人が集まることが多かったので
仲の良い数人にはその郵便受けの番号を教えていた

郵便受けの中には合鍵を入れておいたので
僕がバイトから帰ってくるまでに先に入ってもらって飲み会をしたり
バンドのメンバーに集まってもらったりすることがちょくちょくあった

僕は明け方眠るので仲の良い友人たちは先に帰る
合鍵は元の郵便受けの中に入れておいてもらった

きっとその様子を向かいの駐輪場の女は見ていたのだろう

その日バイトが無く
家でだらだらと漫画を読んだりして過ごしていた
時計は深夜二時を回り
いつもより早めに眠ることにした

僕の部屋は寝室の壁を隔ててすぐに階段があってオートロックは階段下にあったので
寝室にいても誰かがマンションに入ってくる音が聞こえた

ベッドに横になっているとオートロックが開く音が聞こえた
そして階段をかつかつと誰かが登る音
こんな夜遅くに珍しいなと思っていると
カチャンと玄関のドアが開く音がした

友人の誰かが合鍵を使って入ってきたのかとも思ったけれど
彼らは僕の許可なしに入ることはこれまで一度もなかった
勝手に上がるにしてもメールなり電話なり一言が必ずあった

気のせいかと思っていたら
玄関の方からビニール袋がすれる音が聞こえた
それから廊下を歩く音
一歩一歩ゆっくり
ストン・・・
ストン・・・

「誰なん?」
と僕は言った

知り合いが僕を驚かそうとしているのかもしれない
でも返事は無かった

廊下の自動感知のライトがついている
確実に人がいる

初めて一人暮らしをした家であんなことがあってから
玄関にチェーンをしなくなっていた
それが悔やまれてならなかった

沈黙が続いたが動こうにも動けなかった
姿を見たら後戻りができない
そんな気がした

しばらくしてまた
ストン・・・
ストン・・・
と音がした

近づいてきている

そして玄関と部屋とを隔てている
ドアの磨りガラスに人影が映った

背が高い
髪の毛が長い女のように見える

ドアノブがゆっくりと回る

「ちょっと待て!」
と僕は大声で言った

それから
「それ以上やったら僕は顔を見てしまうし取り返しがつかないことになる
今ならそのまま帰ってくれたら気のせいということにしてもいい」
というようなことを大声で言った

ドアはわずかに開きかけていた
そのままの状態で何分かが過ぎた

すると廊下をバタバタと走る音が聞こえ
玄関のドアがバンと閉まった
階段を駆け下りて行く音
オートロックが開き
アスファルトを走る音が遠ざかっていった

後を追いかけたり
ベランダに出て顔を確認することもできなかった
ただじっとするしかなかった

しばらくしてから廊下を恐る恐る覗き
誰もいないのを確認してから
急いで玄関の鍵とチェーンをかけた

その日は一睡もできなかった

つづく・・・
comments(0)|trackback(0)|一日|2013-08-13_23:32|page top

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