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ぬるい氷

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夏の夜の思い出

僕が京都に住み始めた頃の話

大学受験の日程が一番遅かったので
下宿先を決める選択肢が残されていなかった
土地勘のない中
父とともに3件ほど回って決めた

アパートの1階で6畳ほどの部屋の中にキッチンがついていて
ユニットバスがあった
小さなベランダもあった
1階は防犯上不安だと父が言っていたが
3件回って全てが1階だった

住み始めて分かったことだが
隣との壁が薄く隣の住人が壁をどんどん叩いてくる
とりわけ騒いでいるわけでもないのに
例えば友だちを呼んで話しているだけでも
壁が鳴った
それが徐々にエスカレートしていった
無論隣の生活音も聞こえてくるわけで
音楽や話声が聞こえてきても僕は壁を叩かなかった
あまりに我慢できなくなったので隣の家を尋ねていったが
隣の住人は絶対に姿を現さなかった
友人や家族は関わりにならない方がいいと言った
大家に話すと同じ大学に通っている学生だと言っていたが
一度も姿を見たことはなかった

夏になりベランダに置いてある洗濯機のカバーが無くなるということがあった
風で飛ばされるようなものではなかったので
誰かに取られたのだと思った
隣の住人のこともあるし
僕は用心深くなった

ある日の夜
寝苦しくて目が覚めた
エアコンが止まっていたので枕元のリモコンを探そうとしたが
体が動かない
部屋には重苦しい空気が漂い
窓際に何か気配を感じる
その気配がゆっくり近づいてくるのが分かる
声を出そうにも出せず汗が体中に吹き出す
真横にその気配が来た時にようやく声が出て
僕は大きな声で「消えろ」と言った
その何かの気配が消えると同時に
壁がドンと大きく鳴った
僕は初めて壁を殴り返した
こっちはそれどころじゃなかったんだから

その日は明かりをつけたままにして
タオルケットにくるまって寝た

朝目が覚めるとすぐに玄関に行った
鍵もチェーンも掛かったままだ
気のせいだったのだろうか?

しかしカーテンを開けて再び戦慄が走った

窓に手形がついていたのだ
しかも内側から

勿論窓の鍵は掛かっている

僕は大学2回生になって留学するか
隣の住人のことで引っ越すかを迷っていたのだが
その日留学を諦めることにした

そして鍵を厳重にすることは外からの侵入を防げるが
中で何かあった時にすぐに逃げられないと思い
その日からドアにチェーンをするのをやめた

つづく・・・
comments(0)|trackback(0)|一日|2013-08-10_23:12|page top

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