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ぬるい氷

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「ちょ まだー とっくに限界きてるんですけどー」
「マジ足痛いって えっ てかここ? ありえなくない? ふつーの家じゃん」

雪の降り積もる風情のある田舎道
そこにはおよそ似つかわしくない装いと
多すぎる荷物を引いた女性二人が今一軒の旅館へたどり着いたところだった

「お待ちしてましたよ
こんな遠くへようこそいらっしゃいましたね
疲れたでしょ?
くつろいでくださいね
さあさ お部屋へどうぞ」

物腰の良い旅館の女将が
両手に荷物を抱えた

若い女性たちはヒールを脱ぎ終わったところだった

「てかさ おばさん
うちら風呂入りたいんだけれどどこ?」

「お風呂ですか?
お風呂はこの先を突き当たって左側にあります
今日は大浴場の方が女湯になって・・・」

「とりあえず風呂風呂
あ おばさん荷物部屋に入れといてうちら先風呂はいるし」

女将は荷物を部屋まで運んでから
タオルを浴室まで届けた
それから脱衣場に散らばった服を一枚ずつ丁寧に畳んでかごに入れた

「てかさ・・・」
「え マジで?」
風呂の中では女性二人の大きな声が聞こえる

二人が風呂を上がって廊下を歩いていると男の子が立ちふさがった
女将の小学生の息子だった

「お姉さんたち何で鼻に輪っかつけてるの?」

女性二人は顔を見合わせた

「何こいつ?
うけるんですけど」

男の子は
「そんなところに輪っかをつけていると知らないよ」
と言った

「うちらもお前みたいなガキしらねーし」
と言って二人は男の子を壁際に追いやると
大きな足音を立てながら部屋へと入っていった

男の子は女将のところに行くと
「ねえお母さん
何であのお姉さんたちはあんなに黒いの?」
と聞いた

「分からないわ」
と女将は言った

「僕何だかあの人たちは好きじゃない」
と男の子は言った

「お客様にそんなこと言うもんじゃないわ
いいからお部屋に行ってお食事の準備ができたと伝えてきて」
と女将は男の子に促した

男の子はしぶしぶながら部屋へと行き
元気のない声で失礼しますと言って襖を開けた

女性二人は畳の上で横になっていた
濡れた髪はだらしなく広がり
浴衣ははだけて胸元と太ももがあらわになっていた

男の子はだまってその姿を見つめていた
それからポケットに手をつっこみもぞもぞと動かした
「さあ起きるんだよ 出ておいで」

男の子はポケットから手を出し
握っていた手を開いた

蜂くらいの大きさの小さな生き物が手の中から飛び出し
部屋を舞った

それからその生き物は女性の上を旋回し
鼻のピアスに留まったかと思うと
ピアスと自分の体とを糸で結んだ
そしてはだけた胸元から浴衣の中へと入っていった

「痛っ・・・」

女性が目を覚まし体の中に手を入れる
小さな生き物は浴衣から飛び出しそしてまた別の場所から中へ入っていく
女性が追い払おうにもピアスとその生き物とは繫がれてしまっている

「何で冬に蜂がいるのよ
いたっ 痛い 何なのこれ
ねえ ちょっと起きて 蜂だって」

そう言われてもう一人の女性も起きたが
その時にはもう小さな生き物はどこかに去ってしまっていた

「ねえ 何一人で暴れてんの?
てか その鼻ピから垂れてる紐なに?
笑かそうとしてんの?」

「だから蜂がいたんだって」

「今冬だし いるわけないし」

「いやマジだから ねえあんたも見てたでしょ?
てか何で助けないのよ」

そう言われて男の子は
「お食事の用意ができたのでお持ちします」
と静かに言って部屋を出た

「マジ何なのあいつ
てか蜂本当だから」

「はいはい分かったって・・・」

外では雪が降り始めてところだった
男の子は裸足で外に立っていた

「あの真っ黒なお腹からお前の子どもたちがたくさん出てくるんだよ
春が楽しみだね」
男の子が言った

雪に混じり
真っ白い羽の生えた小さな生き物は嬉しそうに何度も男の子の周りを旋回していた
comments(0)|trackback(0)|書き物|2013-01-23_22:32|page top

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