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ぬるい氷

pene

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トイレの話

慣れているトイレ以外のトイレを使うことにためらいがある
ためらいの主な理由は
誰が使ったか分からない=不潔である
と思っているからだと思う

だから僕はほとんど自宅のトイレしか使わないのだけれど
自宅のトイレが常に清潔かといえばそういうわけでもないと思う
そうなると「不潔だから嫌」なのではなく
「他人の汚物が嫌」なのだと思う
裏を返せば「自分の汚物なら大丈夫」と聞こえるけれど
そういうわけでもない

こんな話をしたかったわけではない
この間ある女性と食事をすることになりお酒を飲んだのだ
お酒を飲むとトイレが近くなるのだけれどできるだけ行かないように我慢していた
けれども会計を済ませた後に
女性がトイレに行ったので
僕もその人が戻ってきたところでトイレに行くことにした
店が綺麗なのでトイレも綺麗だろうと思って用を足しに向かった
男女兼用のトイレで個室に洋式の便器があった

できるだけ手に触れる部分を少なくするためにフタの端の方を持って開けると
水が溜まっているはずの部分に顔があった
おでこからあごの先まですっぽりと
顔がはまっているというよりは顔がせり出してきたような感じだった

顔はまだ幼い子どもの顔に見えた
フタを開けたことによって明るくなったからか
その顔はまぶしそうな顔をした
けれど目を開くことはなかった
それからその顔はパクパクパクパク
口を開けて閉めてを繰り返した

何をしているのかをよく観察すると
一生懸命呼吸をしているようだった
僕はその様子を見ながら
今まさにこの生き物は生まれたばかりで
呼吸の仕方を学んでいるのだと思った

僕は自分でいつ呼吸の仕方を学んだのかを知らないが
いつの間にか呼吸をすることができている
いつ学んだのか覚えていなけれど歩けるし
洋式の便所で用も足せる

しかし顔の埋まっているトイレで用を足すという経験はこれまでしたことがない
便意はいつの間にか消え去っていたので
僕は何もせずにその場を後にした

僕は待っていてくれた女性にトイレの話をしようと思ったが
僕よりも前にトイレに入ったその女性と便器の中にいた子どもの間に
もしかしたら何らかの関係があったらと思って
何も聞かなかった

ただその女性が店を出る前に
「トイレ迷わなかった?」
という一言がどういう意味だったのか
今でも考えてしまう
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comments(0)|trackback(0)|一日|2016-11-27_23:47|page top