FC2ブログ

ぬるい氷

pene

pene

じゃんけんっ娘

ずっと前の話
僕がまだ盗まれてしまった自転車に乗っていた頃
それは夏の終わりで一人で出かけているところだった

長い一本道で
歩道は狭く
車道の左側を走っていた
軽快に自転車を走らせていると前方に一台自転車が走っていて
後ろには子どもが乗っていた

頻繁に車が通る車道だったので
抜かすこともできず
スピードを緩めてその自転車の後をついていく形となった

子どもは自由に動いては手を動かしたりして遊んでいた
無邪気なその様子を僕は眺めていた
子どもが振り返り僕と目が合った
可愛らしい女の子だった
多分小学校に上がるか上がらないかくらいかの年齢だったと思う
女の子がにこっと笑ったので
思わず僕もにこっと笑った

それからずっと僕の方を見ているものだから変な顔をしてやった
そしたら女の子はとても喜んだ

そしてどこをどうしてそうなったのかは覚えていないけれど
女の子とじゃんけんをした

片手運転だと危ないので
僕は顔でじゃんけんをした

グーはすっぱい顔
チョキはムンクの叫びみたいな顔
パーは口を大きく開けた顔

そんなわけのわからないものでも伝わるもので
女の子の手と僕の顔とで
しばらくの間じゃんけんが続いた

前に乗っている親が振り返ったら完全に僕は不審者に映っただろう

僕の顔の筋肉が疲れてきた頃
女の子も顔でじゃんけんをするようになり
それはぎこちなくてじゃんけんにはなっていなくて
ただの変な顔だった
そしてお互いに変な顔を見せ合いながら笑っていた
いつまでも飽きることなくそんなことをやっていたけれど
道の先に交差点が見えた
あそこでお別れかと思って
最後に僕は指先だけでバイバイをした
女の子は大きく手を振り返してくれた

交差点の手前で急に前の自転車が止まった
そして警察が寄ってきた
あらあら職務質問を受けているよ
運が悪い

その横を抜けて僕は交差点で信号待ちをしていた
信号が青になりペダルに力を込める
するとさっきの自転車が僕の横を通り過ぎた
でもおかしなことにさっきまで後ろに乗っていた女の子の姿がない
どこにいったんだろうと思っていると
僕の肩をトントンと誰かが叩く
まさか・・・と思い
ぞっとしながらゆっくり後ろを振り返ると

警察官が「これあなたの自転車?防犯登録確認させて」ときたもんだ
焦って損したよ

それにしてもあの女の子は一体どこへいったのだろう
そういやそれ以来やけに肩が重く感じる・・・
なんてことは全くないのだが
スポンサーサイト



comments(0)|trackback(0)|一日|2012-05-31_23:06|page top