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ぬるい氷

pene

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麺と向かって

先週末につけ麺を食べていたら
隣の席におばあさんが座った

ラベンダーのきつい匂いがして
飲食店でそんなものつけてくれるなよと
思わず顔を背けたのだが
おばあさんはカウンター越しに店主に向かってメニューのことを聞いていた

「このつけ麺ていうのはラーメンとは違うの?」

店主は僕の食べているつけ麺を指して
これですと丁寧に教えていた

「ざるそばみたいなものなのね」とおばあさんが言うと
店主は苦笑いを浮かべた

「ラーメンにするわ」

おばあさんは他にも何か話したがっていたが
店主は忙しそうだった
だから僕の方を見て
「美味しそうね」と言った

「ええ 美味しいですよ」
と僕は言った

その店は僕がよく行くところで
麺がずば抜けて美味しい

みずみずしく適度に弾力のある麺が喉を通過する時
喉の細胞が一斉にその麺に触れたがっているのが分かるくらいだ
それはまるで大玉送りで子どもたちが両手を挙げて大玉を待ち構えているかのよう

おばあさんはそれから僕の食べ方を褒めた
それに対して何か言葉を返そうと思ったけれど
話が長くなりそうなのでやめておいた

再び店主に話しかけるおばあさん

「今日はお通夜でこの近くまで来たの
つけ麺がとても美味しそうだから明日のお葬式の時に注文するわ
昼は空いているの?」

「昼の方が混んでいるんです」

「あらそうなの」

非常識な人だと思っていたけれど
お通夜の帰りだから香水をつけていたと分かり
そしてお通夜帰りなのに元気なその姿に
好感すらもてた

ラーメンが届き
おばあさんは少女のように喜んでいた
辺りを見回しているおばあさんの姿を見て
無意識のうちに僕は箸箱から箸を取り出し
おばあさんに渡していた

一生分のつけ麺を食べてしまった僕と
まだ一度も食べたことがないおばあさん

おばあさんはどんな気持ちで届いたラーメンを食べているのか
そして翌日初めてのつけ麺にどんな感想をもらすのか
そんなことを考えて僕は店を後にした

今年になっておばあさんと接する機会が増え
また自分より10も20も年上の女性に可愛がられることが多くなったと感じる
でもよく考えると昔から年上の女性には可愛がられ大事にされている
それはそれでありがたいことだとは思うけれど
ほんまに自分の思いを届けたいと思う人にはなかなか自分の思いを伝えることはできない
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comments(0)|trackback(0)|一日|2012-04-30_21:41|page top
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